自動車に関する税
自動車と譲渡担保
このページでは譲渡担保とは何か。所有権留保との比較、リースバックとの比較、登録手続きについての説明をします。
最後に参考条文を紹介します。
自動車の譲渡担保とは
譲渡担保とは、借金の担保に一時的に所有権を渡すことをいいます。借金を返済したら担保とした財産は返却され、借金が返済できないときは、貸主にその財産は正式に譲渡されます。なお、借入金額が担保となった自動車の価格よりも少ない場合は、清算金として差額を変換する必要があります。
所有権を渡す場合、通常は物自体を相手に持たせるのですが、自動車の譲渡担保の場合は所有権は渡しても、自動車を使用する権利は渡さないで、車を使用し続けて借金を返済することが多いです。
自動車の場合は、登録することで所有権が移ったことを、他の債権者に主張することができます。移転登録をしておけば、他の債権者に対象となる自動車を差し押さえられたりすることはありません。
しかし、譲渡担保で車を使用させる場合は、事故などのリスクもあるので車両保険の加入をおすすめします。
所有権留保との比較
譲渡担保は、担保として所有権をもっている意味では所有権留保に近いです。
自動車税(種別割)の納税義務者については、ローンで車両を購入した場合に、所有権留保で登録すると、買主が例外的に納税義務者となります。(地方税法 147条1項)
それに対して、譲渡担保の場合は、納税義務者は原則通り所有者課税となります。
環境性能割については、所有権留保の場合は、はじめの登録時点では買主である使用者が支払いますが、所有権留保の解除を行い、買主に所有権が移転した時には、重ねて環境性能割を支払う義務はありません。
譲渡担保は環境性能割については、担保として所有権をつけるときも、返済して所有権を戻すときも、一定の要件のもと免税の特例があります。
車両の管理責任という面においては、所有権留保の場合は所有者であるローン会社が責任を追わせるケースがあります。(平成21年3月10日最高裁第3小法廷判決では、残債務弁済期が経過した後は、留保所有権が担保権の性質を有するからといって撤去義務や不法行為責任を免れることはないと解するのが相当である。として、残債務弁済期が経過して車両を引き上げる場合には、所有者としての責任を認めています。)
譲渡担保については、明示された判例はありません。
リースバックとの比較
持っている車両の所有権を資金提供者がもつという手法にはリースバックというものもあります。リースバックでは、リース会社が車両を買取り、その後リース契約で車両を使ってもらうこととなります。月々リース料がかかるので、その支払に耐えられるかリース会社から審査されます。
譲渡担保と比較して、資金が調達できることに加えて、車両を継続して使用できるという点でも共通しています。
リースバックの場合は、所有権は完全に移転し、リース契約が満了したとしても車両が自動的に戻ってくるわけではないという点は注意が必要です。また、リース契約なので定額でメンテナンスをつけることも可能であり、諸経費の負担が平準化されるなど、単に資金を調達しただけでなく、管理コストの削減などのメリットもあります。
自動車税の種別割についてはどちらも所有者課税です。リースバックの場合は、当然にリース料の中に自動車税の種別割が内包されているので問題ありませんが、譲渡担保の場合は、自動車税の負担についての取り決めを失念しないように注意が必要です。
環境性能割については、リースバックには特例がありませんので、燃費性能が優れていたり、車両の経年劣化により通常の取得価格が免税店以下になるなど、他の要因がなければ基本的に課税されます。 リース満了時に買い戻す場合(リースアップ)でも、車両価格によっては環境性能割を負担する可能性があります。(通常は、一般的な乗用車であれば5年リースならば経年劣化で価格が下がり、免税店以下となり課税されない可能性が高いです。)
譲渡担保の自動車登録手続き
譲渡担保の登録手続きは、「移転登録」になります。
通常は、使用者、使用の本拠に変更がないので、ナンバープレートを変えたり、車庫証明を取得する必要はありません。
車検証の記載内容は下記のように変更されるケースが多いです。使用の本拠の位置は営業所だったりするケースもあります。
項目 | 旧車検証 | 新車検証 |
所有者 | 金借運送 (債務者) 東京都日野市 | 金貸商事 (債権者) 東京都世田谷区 |
使用者 | *** (上と同じという意味) *** (上と同じという意味) | 金借運送 (債務者) 東京都日野市 |
使用の本拠 | *** (上と同じという意味) | *** (上と同じという意味) |
税申告については、6ヶ月以内に完済されて登録を戻すことが見込まれているであれば環境性能割納税猶予の特例があり、6ヶ月以内に所有権を戻すと環境性能割が免除されます。支払ってから還付を受けることもできます。
所有権を戻すときも、6ヶ月以内ならば非課税となり、6ヶ月を越した場合は課税されます。(他に非課税となる要素がない場合)
譲渡担保の自動車登録の必要書類
譲渡担保の必要書類は下記のとおりとなります。
車検証原本
旧所有者(債務者)の委任状 (実印を押印)
旧所有者(債務者)の譲渡証明書 (実印を押印)
旧所有者(債務者)の印鑑証明書 (発行後3ヶ月以内)
新所有者(債権者)の委任状 (実印を押印)
新所有者(債務者)の印鑑証明書 (発行後3ヶ月以内)
手数料納付書 (現地で取得可能)
移転登録申請書 OCR1号様式 (現地で取得可能 原因に譲渡担保と記載)
税申告書 (現地で取得可能 所有者区分を譲渡担保と記載)
- 納税猶予の申告をする場合には税事務所に必要書類の確認をしてください。
自動車税と譲渡担保に関する参考条文
地方税法
(自動車税の納税義務者等)
第146条 自動車税は、自動車に対し、当該自動車の取得者に環境性能割によつて、当該自動車の所有者に種別割によつて、それぞれ当該自動車の主たる定置場所在の道府県が課する。
2 前項に規定する自動車の取得者には、製造により自動車を取得した自動車製造業者、販売のために自動車を取得した自動車販売業者その他運行(道路運送車両法第2条第5項に規定する運行をいう。次条第3項及び第4項において同じ。)以外の目的に供するために自動車を取得した者として政令で定めるものを含まないものとする。
(自動車税のみなす課税)
第147条 自動車の売買契約において売主が当該自動車の所有権を留保している場合には、自動車税の賦課徴収については、買主を前条第1項に規定する自動車の取得者(以下この節において「自動車の取得者」という。)及び自動車の所有者とみなして、自動車税を課する。
(形式的な所有権の移転により取得した自動車に対する環境性能割の非課税)
第150条 道府県は、次に掲げる自動車に対しては、環境性能割を課することができない。 <略>
九 譲渡により担保の目的となつている財産(以下この号及び第164条第1項において「譲渡担保財産」という。)により担保される債権の消滅により当該譲渡担保財産の設定の日から6月以内に譲渡担保財産の権利者(同項及び同条第6項において「譲渡担保権者」という。)から譲渡担保財産の設定者(設定者が交代した場合に新たに設定者となる者を除く。以下この号及び同条第1項において同じ。)に当該譲渡担保財産を移転する場合における当該譲渡担保財産の設定者が取得した自動車
2 道府県は、第147条第1項又は第2項の規定の適用を受ける売買契約に基づき自動車の所有権がこれらの規定に規定する買主に移転したときは、当該買主が取得した自動車に対しては、重ねて環境性能割を課することができない。
(譲渡担保財産に対して課する環境性能割の納税義務の免除等)
第164条 道府県は、譲渡担保権者が譲渡担保財産として自動車の取得をした場合において、当該譲渡担保財産により担保される債権の消滅により当該取得の日から6月以内に譲渡担保権者から譲渡担保財産の設定者に当該譲渡担保財産を移転したときは、譲渡担保権者が取得した当該譲渡担保財産に対する環境性能割に係る地方団体の徴収金に係る納税義務を免除するものとする。
2 道府県知事は、自動車の取得者から環境性能割について前項の規定の適用があるべき旨の申告があり、当該申告が真実であると認めるときは、当該取得の日から6月以内の期間を限つて、当該自動車に対する環境性能割に係る地方団体の徴収金の徴収を猶予するものとする。
3 道府県知事は、前項の規定による徴収の猶予をした場合には、当該徴収の猶予がされた環境性能割額に係る延滞金額のうち当該徴収を猶予した期間に対応する部分の金額を免除するものとする。
4 道府県知事は、第2項の規定による徴収の猶予をした場合において、当該徴収の猶予に係る環境性能割について第1項の規定の適用がないことが明らかとなつたときは、当該徴収の猶予を取り消さなければならない。この場合において、徴収の猶予を取り消された者は、直ちに当該徴収の猶予がされた環境性能割に係る地方団体の徴収金を納付しなければならない。
5 第15条の2の二及び第15条の2の三第1項の規定は第2項の規定による徴収の猶予について、第15条の3第3項の規定は前項の規定による徴収の猶予の取消しについて、それぞれ準用する。
6 道府県が環境性能割に係る地方団体の徴収金を徴収した場合において、当該環境性能割について第1項の規定の適用があることとなつたときは、道府県知事は、同項の譲渡担保権者の申請に基づいて、当該地方団体の徴収金を還付するものとする。
7 道府県知事は、前項の規定により環境性能割に係る地方団体の徴収金を還付する場合において、還付を受けるべき者の未納に係る地方団体の徴収金があるときは、当該還付すべき額をこれに充当しなければならない。
8 前2項の規定により環境性能割に係る地方団体の徴収金を還付し、又は充当する場合には、第6項の規定による還付の申請があつた日から起算して10日を経過した日を第17条の4第1項各号に定める日とみなして、同項の規定を適用する。
条文参照:地方税法
関連ページ
「生計を同じくする」とは何か?
「生計を同じくする」とは何か
自動車を購入した時に、一定の要件のもと、自動車税の減免を受けることができます。
東京都の減免として、代表的なものとして、「障害者の方のために専ら使用する自動車に係る自動車税・自動車取得税の減免」というものがあります。ここで、専ら(もっぱら)という表現があり、専らとは何かということが問題となります。
東京都のホームページには、「障害者の方のために専ら使用する自動車」として、下記の表で減免の対象となる自動車を明示しています。
| 納税義務者(所有者又は取得者) | 運転者 | 使用目的 |
① | 障害者の方 | 障害者の方 | 特に問いません |
② | 障害者以外の方 | 専ら障害者の方の通院、通学等のために使用する | |
③ | 生計を同じくする方 | 障害者の方 | |
④ | 障害者以外の方 |
*「生計を同じくする方」とは、「障害者の方と同居している方」又は「近隣(障害者の方の住所地から2㎞以内)にお住まいの親族の方」をいいます。
*割賦販売以外で使用者設定されている場合は、使用者の方も障害者自身または「生計を同じくする方」である必要があります。
http://www.tax.metro.tokyo.jp/kazei/info/car-genmen.html
東京都の判断としては、同居の親族又は、近隣の親族となっていますが、本来の意味としては、生活費を同じ財布から支出して生活している方をいいます。所得税の通達ではまた違った定義があります。
【「生計を一にする」とは、必ずしも同居を要件とするものではありません。例えば、勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。】
比較すると、所得税の判断が言葉の通りに実質的に判断しているのに対して、東京都の判断は一見すると非常に形式的であるようにも思われます。
しかし、専ら自動車を障がい者のために使用するという要素も加味して考えると、たとえ生計を同じくしていても遠方の親族が、自動車を専ら障がい者のために使用するとは考えにくいですし、近隣の親族で全く別の収入で生活している場合に、あえて車を親族名義にして障がい者の通勤通学を補助するのも、また考えにくいと思われます。
したがって、障がい者減免という前提として考えると、生計を同じくする方が、所得税の通達と乖離があったとしても、一定の合理性があるものと思われます
参考
東京都都税条例
第八十三条 下肢又は体幹に障害を有し歩行が著しく困難な者その他の規則で定める障害を有する者(以下この条及び第百三条第一項第二号において「下肢等障害者」という。)が所有する自動車又はその者と生計を一にする者(以下この条及び第百三条第一項第二号において「生計を一にする者」という。)が下肢等障害者のために所有する自動車で、下肢等障害者が自ら運転するもの又は生計を一にする者が下肢等障害者のために運転するものであつて、知事において必要があると認めるものに限り、その者の申請によつて自動車税を減免する。
令和元年10月以降の自動車税制
令和元年10月以降の自動車税制について
令和元年10月より自動車取得税が廃止され、環境性能割が導入されます。
この度、経済産業省のホームページに特設サイトが開設されましたのでご紹介します。
大きく変わる、クルマの税 【 経済産業省ホームページ 】
遺贈による自動車の名義変更(移転登録)
遺贈による自動車の名義変更
自動車の名義変更の中でもレアなものが、「遺贈」による名義変更です。当法人での過去の実績でも、相続100件に対して、遺贈は1件あるかないかです。
遺言書があるから、相続だと思いこんで書類を集めると、車を持ち込んだものの登録ができないなんてこともありえます。
遺言書があった場合は専門家に相談することをおすすめしています。
行政書士法人山口事務所は、遺言についての申請も全国の行政書士と連携して対応いたします。どこの管轄の車両であってもご相談ください。
遺贈と相続の判断
「相続させる」と書いてあっても、相手が相続人でなかった場合は、遺贈になります。公正証書の場合は、戸籍を添付するので、基本的に公証人が修正すると思いますが、自筆証書遺言の場合は、勘違いでこのような記載をされる場合もあるので注意が必要です。
遺言書に「遺贈する」と書いてあった場合は、基本的に遺贈になります。例外的に相続人全員に対して、「遺贈する」と書かれていた場合は、相続による申請をするものと思われます。※1
遺贈と遺言執行者
遺贈による移転登録の必要書類は遺言執行者がいるかどうかで変わります。※2
遺言執行者がいない場合は、書類がかなり多くなります。公正証書遺言で遺贈をする定めをしているケースでは、多くの場合遺言執行者についての定めがあるので、遺言執行者の有無を確認しましょう。
遺言執行者がいる場合の遺贈の必要書類
受贈者が所有者兼使用者の場合
- 自動車検査証 (有効期限内のもの)
- 公正証書遺言 (または検認済みの自筆証書遺言)
- 死亡の事実のわかる戸籍
- 遺言執行者の印鑑証明書 (発行後3ヶ月以内)
- 遺言執行者の委任状 (実印を押印)
- 受贈者(遺贈を受ける人)の印鑑証明書 (発行後3ヶ月以内)
- 受贈者の委任状 (実印を押印)
- 受贈者の車庫証明 (発行後概ね30日以内のもの、使用の本拠の位置が変わる場合)
- 管轄が変わる場合はナンバープレート (現車の持ち込みか、出張封印)
使用者が別の場合
- 自動車検査証 (有効期限内のもの)
- 公正証書遺言 (または検認済みの自筆証書遺言)
- 死亡の事実のわかる戸籍
- 遺言執行者の印鑑証明書 (発行後3ヶ月以内)
- 遺言執行者の委任状 (実印を押印)
- 受贈者(遺贈を受ける人)の印鑑証明書 (発行後3ヶ月以内)
- 受贈者の委任状 (実印を押印)
- 使用者の住所のわかる書類 (住民票等、コピー可、発行後3ヶ月以内)
- 使用者の委任状 (認印でも可)
- 使用者の車庫証明 (発行後概ね30日以内のもの、使用の本拠の位置が変わる場合)
- 管轄が変わる場合はナンバープレート (現車の持ち込みか、出張封印)
その車をディーラーに売却する場合
- 自動車検査証
- 公正証書遺言 (または検認済みの自筆証書遺言)
- 死亡の事実のわかる戸籍
- 遺言執行者の印鑑証明書 (発行後3ヶ月以内)
- 遺言執行者の委任状 (実印を押印)
- 受贈者(遺贈を受ける人)の印鑑証明書 (発行後3ヶ月以内)
- 受贈者の委任状 (実印を押印)
- 譲渡証明書 (受贈者の実印を押印)
- ディーラーの下取り用の書類
遺言執行者と受遺者が同一人物の場合
遺言執行者と受遺者が同一人物でも、特別な許可は不要です。また、印鑑証明書は同一人物なので一通で足ります。しかし、委任状は、遺言執行者としての立場と、受遺者の立場のものがそれぞれ必要となります。(1枚に2か所記名押印してもよいし、2枚でもよい。)
遺言執行者がいない場合の遺贈の必要書類
受贈者が所有者兼使用者の場合
- 自動車検査証 (有効期限内のもの)
- 公正証書遺言 (または検認済みの自筆証書遺言)
- 死亡の事実のわかる戸籍
- 被相続人と、相続人全員の関係がすべて証明できる戸籍
- 相続人全員の印鑑証明書 (発行後3ヶ月以内)
- 相続人全員の委任状 (実印を押印)
- 受贈者(遺贈を受ける人)の印鑑証明書 (発行後3ヶ月以内)
- 受贈者の委任状 (実印を押印)
- 受贈者の車庫証明 (発行後概ね30日以内のもの、使用の本拠の位置が変わる場合)
- 管轄が変わる場合はナンバープレート (現車の持ち込みか、出張封印)
使用者が別の場合
- 自動車検査証 (有効期限内のもの)
- 公正証書遺言 (または検認済みの自筆証書遺言)
- 死亡の事実のわかる戸籍
- 被相続人と、相続人全員の関係がすべて証明できる戸籍
- 相続人全員の印鑑証明書 (発行後3ヶ月以内)
- 相続人全員の委任状 (実印を押印)
- 受贈者(遺贈を受ける人)の印鑑証明書 (発行後3ヶ月以内)
- 受贈者の委任状 (実印を押印)
- 使用者の住所のわかる書類 (住民票等、コピー可、発行後3ヶ月以内)
- 使用者の委任状 (認印でも可)
- 使用者の車庫証明 (発行後概ね30日以内のもの、使用の本拠の位置が変わる場合)
- 管轄が変わる場合はナンバープレート (現車の持ち込みか、出張封印)
その車をディーラーに売却する場合
- 自動車検査証
- 公正証書遺言 (または検認済みの自筆証書遺言)
- 死亡の事実のわかる戸籍
- 被相続人と、相続人全員の関係がすべて証明できる戸籍
- 相続人全員の印鑑証明書 (発行後3ヶ月以内)
- 相続人全員の委任状 (実印を押印)
- 受贈者(遺贈を受ける人)の印鑑証明書 (発行後3ヶ月以内)
- 受贈者の委任状 (実印を押印)
- 譲渡証明書 (受贈者の実印を押印)
- ディーラーの下取り用の書類
遺贈と自動車登録取得税
相続の場合は、自動車取得税は非課税となります。※3
しかしながら、遺贈の場合は自動車取得税が課税されます。
自動車取得税は、自動車の取得価格課税されるものですが、遺贈の場合は対価がないことが一般的なので、その場合は、通常の取引価格というもので計算されます。※4
通常の取引価格は、自動車の型式指定番号と類別区分番号、初年度登録年月、自家用自動車か、事業用自動車(緑のナンバー)を税事務所に伝えることで教えてもらえます。(さらに細かいグレードが必要なケースもあります。)
一般的な自家用車であれば、登録から3年から5年で自動車取得税はかからなくなります。
ディーラーが下取りする場合
ディーラーが下取りする場合は、遺贈による取得でも東京などの一部の都道府県では自動車取得税がかかりません。これは、連件申請、いわゆるW移転の場合は、地方税法施行令第42条の2の「運用の用に供する自動車」に該当しないと考えるからです。※5
※1
(質疑)
(略)
どのような記載があれば「相続する場合」と判断してよいか。(回答内容)
「◯◯に遺贈する」等、相続か遺贈か判断できない場合は、(略) ◯◯が相続人か否かを判断するため戸籍謄本を求める。結果◯◯が相続人以外であれば遺贈となる。
引用元:自動車登録業務関係質疑応答集 平成24年3月 【9-25】
不動産登記に関する先例だが自動車登録の質疑の前提となる知識と思われるもの
(照会)
被相続人が相続人に対し相続財産の全部を包括名義で贈与する旨の遺言があるときは、その遺言書に他に相続分の指定と解せられる記載がない限り、その相続財産全部の処分を受ける者が相続人中の一部の者であると全員であるとに拘らず、当該処分による所有権移転登記の登記原因は遺贈であると考えられるので、本件の場合は遺贈による所有権移転登記を申請しなければならないものと考えるかどうか。
(回答)
相続財産の処分を受ける者が相続人中の一部の者である場合には、貴見のとおり。なお、その処分を受ける者が相続人の全員である場合には、その所有権移転の登記は、相続を登記原因としてなすべきである。
引用元:昭和38年11月20日民事甲第3119号回答
※2
(質疑)
遺言書による移転登録で、相続人以外に遺贈された場合の必要な戸籍謄本等と、その手続について
(回答内容)
- 遺言執行者が指定されている揚合(家庭裁判所による選任も含む)は、被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本等のみ。
→遺言執行者が登録義務者、受遺者が登録権利者の共同申請。
- 遺言執行者が指定されていない場合は、被相続人の死亡が確認でき、且つ被相続人と相続人全員の関係が全て証明できるものが必要。
→相続人全員が登録義務者、受遺者が登録権利者の共同申請。
引用元:自動車登録業務関係質疑応答集 平成24年3月 【9-25】
※3
(自動車取得税の非課税)
地方税法第百十五条 道府県は、国、非課税独立行政法人、国立大学法人等及び日本年金機構並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区、合併特例区及び地方独立行政法人の自動車の取得に対しては、自動車取得税を課することができない。ただし、地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第二条第一項に規定する地方公営企業の用に供するための自動車の取得のうち政令で定めるもの及び地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二十一条第三号に掲げる業務の用に供するための自動車の取得のうち政令で定めるものに対しては、この限りでない。
2 道府県は、次に掲げる自動車の取得に対しては、自動車取得税を課することができない。
一 相続(被相続人から相続人に対してされた遺贈を含む。)に基づく自動車の取得
(2号以降省略)
※4
(自動車取得税の課税標準)
地方税法第百十八条 自動車取得税の課税標準は、自動車の取得価額とする。
2 次に掲げる自動車の取得については、その取得の時における当該自動車の通常の取引価額として総務省令で定めるところにより算定した金額を前項の取得価額とみなす。
一 無償でされた自動車の取得又は自動車を譲渡した者が親族その他当該自動車を取得した者と特殊の関係のある者で政令で定めるものである場合その他特別の事情がある場合における自動車の取得で政令で定めるもの
(2号以降省略)
※5
(自動車取得税の納税義務者等)
地方税法第百十三条 自動車取得税は、自動車の取得に対し、当該自動車の主たる定置場所在の道府県において、当該自動車の取得者に課する。
2 前項の「自動車」とは、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項に規定する自動車(自動車に付加して一体となつている物として政令で定めるものを含む。)をいい、同法第三条の大型特殊自動車及び小型特殊自動車並びに同条の小型自動車及び軽自動車のうち二輪のもの(側車付二輪自動車を含む。)を除くものとし、前項の「自動車の取得」には、自動車製造業者の製造による自動車の取得、自動車販売業者の販売のための自動車の取得その他政令で定める自動車の取得を含まないものとする。(法第百十三条第二項の自動車の取得)
地方税法施行令第四十二条の二 法第百十三条第二項に規定する政令で定める自動車の取得は、道路(道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第六項に規定する道路をいう。)以外の場所のみにおいてその用い方に従い用いられる自動車その他運行(法第百十四条第三項に規定する運行をいう。)の用に供されない自動車の取得とする。
自動車税の納期限は5/31まで
自動車税の納期限は5/31まで
毎年5月は自動車税の季節です。
そろそろお手元にも自動車税の納税通知書が届いているかと思います。
さて、自動車税とはどういった税金でしょうか?
自動車は自動車の所有者に課される財産税で、主に道路の整備などに使われています。納付先は自動車の使用の本拠を置く都道府県になり、4月から翌年度の3月分までを一括して納付します。
こちらの自動車税の納期限は5/31までなっております。
未納の場合は自動車の車検が受けられなくなったりしますので、納期限までに必ず納付しましょう。
また、身体障害者手帳等の交付を受けている方は自動車税の減免を受けることができます。
平成29年度の減免申請も5/31までとなっております。詳細は下記の都税のHPをご参考ください。
事業譲渡と自動車取得税
ご覧いただきありがとうございます。
行政書士の友人からの質問があったので、
せっかくなので載せようと思います。
行政書士の山口です。今日は自動車取得税関係です。
取得税が非課税か否か
会社分割に似た手続きで事業譲渡があります。
会社分割の場合は、一定の要件のもとに自動車取得税が非課税になりますが、事業譲渡の場合は非課税になることはありません。
したがって、車の対価(=取得価格)が非常にわかりにくい事業譲渡でも、自動車取得税がかかります。
自動車取得税の計算方法
自動車取得税の計算方法は、実際の取得価格×税率(3%:平成29年5月現在)です。
一般的に自動車の個別の車両に対しての金額を出すことはできませんので、
内訳がわからない場合は、少なくとも東京都では運用上、「通常の取引価格(地方税法第118条2項)」を取得価格として申請することが可能です。
車両の取得金額が明確であれば、その金額で申告することも可能です。
「通常の取引価格」は中古車の場合は、初年度登録と型式と申請日で決まってきますので、税事務所に問い合わせて確認することができます。
実際の取得金額で申請する場合の注意点
実際の取得金額によって必要書類が変わります。
実際の取得価格が、通常の取引価格より高い場合。
添付書類は不要です。
申請した金額で受理されます。特に説明も必要ありませんが、
通常の取引価格より高いので、間違いないか確認されることがあります。
実際の取得価格が、通常の取引価格よりも低い場合
説明資料が必要です。
何があれば絶対に大丈夫という基準はありませんので、
事前に電話などで相談しましょう。