所有権解除について(登録だより 2022年10月号)

行政書士法人山口事務所(国立、立川、多摩エリア)です。

月末、年末、年度末に頼れる行政書士事務所として国立市、立川市、多摩エリアのカーディーラー様にも多大なるご評価をいただいております。

普通車・軽自動車・二輪車などの移転・変更・抹消・新規登録など、自動車に関する申請代理はすべて対応させていただいております。

国内トップクラスの大量案件や車両の管理、イレギュラー案件も日々行っていますので、お気軽にお問い合わせください。

所有権の留保と解除

今号のテーマは自動車の所有権解除についてです。

自動車をローンで購入されるお客様も多くいらっしゃいます。そのため、ローン完済後の所有権解除の登録も多く見られます。今回は自動車の所有権の留保や解除、手続きについてなどをあらためて確認していきたいと思います。

所有権留保と解除

所有権留保は、売買契約時に売主が売買代金の全額が支払われる前に商品を買主に引き渡す場合に、代金が完済されるまで売主が商品の所有権を自己に留保する(とどめおく)という特約を交わすことにより行われます。

売買代金の担保として割賦販売(ローン)の際に多く用いられ、信販会社等が売買代金の立替を行った場合には、信販会社等が所有者となります。

自動車登録においては、信販会社や自動車販売会社を所有者、購入者を使用者とする登録をしますので、所有権が留保されていることが明白となります。

所有権留保は買主が代金を完済した時点で解除され、所有権は買主に移動します。

自動車においても代金完済の時点で所有権は買主に移動しますが、何もしなければ自動車登録上は使用者のままなので、買主を所有者に変更する所有権解除をする必要があります。

所有権解除と道路運送車両法

法律上は所有者の変更があった場合には、新所有者はその日から15日以内に移転登録をしなければならない(道路運送車両法第13条)とされています。

(移転登録)道路運送車両法 第十三条
新規登録を受けた自動車(以下「登録自動車」という。)について所有者の変更があつたときは、新所有者は、その事由があつた日から十五日以内に、国土交通大臣の行う移転登録の申請をしなければならない。

所有権解除をしないデメリット

コンプライアンス上の問題を無視しても、所有権解除をしないと、買主の引越しや相続などが発生したときに、信販会社や自動車販売会社の書類が必要になり、手続きが煩雑になる恐れがあります。できるだけ速やかに移転登録を行った方がよいでしょう。

 

必要書類について

登録をする上では所有権解除も特段に難しいことはなく、通常の名義変更の手続きで登録ができます。必要な書類を確認してみましょう。

登録自動車

  • 車検証
  • 譲渡証明書(ローン会社や販売会社等が発行)
  • 旧所有者の印鑑証明書(ローン会社や販売会社等が発行)
  • 旧所有者の委任状(ローン会社や販売会社等が発行)
  • 新所有者の印鑑証明書
  • 新所有者の委任状

※引越しなどにより住所が繋がらない場合は、住民票や車庫証明が必要です。詳しくは別項でご説明します。

軽自動車

  • 車検証
  • 旧所有者の申請依頼書(ローン会社や販売会社等が発行)

※【軽自動車所有権承諾書】がある場合は一緒に添付してください。

  • 新使用者の申請依頼書

※ 引越しなどにより住所変更している場合は、住民票や印鑑証明書など最新の住所を証明する書類が別途必要です。(コピー可)

旧所有者の書類に関しては、所有権を有する信販会社や自動車販売店へお問い合わせの上、ご準備ください。

お問い合わせ・無料相談

 

OSSと所有権解除

新車新規や継続検査同様に、所有権解除もOSSで申請することができます。

ただし、通常の所有権解除は車庫証明が不要な為、OSSを利用するメリットはありません。

必要書類を揃えて窓口へ行けば即日で所有権解除が完了します。

OSSが便利なのは、使用の本拠の変更(引越や会社移転など)があり車庫証明が必要なケースです。

OSSならば警察署に行く必要がなく、OSSですべて完結できるのでスムーズに登録ができます。

 

OSSの注意点

※ ダブル移転はOSS申請ができません。

※ 軽自動車はOSS申請ができません。

※ 高知県では利用できません。(令和4年9月現在OSS対象地域外)

 

登録識別情報について

Bタイプ車検証では登録識別情報制度が採用されています。

簡単に言うと、登録の際に「登録識別情報」というパスワードが必要になります。

この制度は所有権解除のときも同様です。

旧所有者が登録識別情報を所有権解除の登録前に国に電子的に提供している場合は通常通りに登録できますが、そうでない場合には、申請書に登録識別情報の記入が必要になります。

事前に電子的に提供しているかどうかについては、所有者しか知りえない情報なので、所有者の信販会社や自動車販売店から6桁の登録識別情報の提供がある場合は、登録依頼時に一緒にお知らせください

※ 通常の車検証(Aタイプ車検証)は登録識別情報は不要です。

※ 軽自動車は登録識別情報制度がありません。登録識別情報は不要です。

 

<参考>

登録識別情報とは

所有者であることを特定するための、アルファベット+数字の組み合わせで6桁のものです。

Bタイプ車検証とは

自動車検査証に所有者欄が無く、備考欄に自動車検査証発行時の所有者の情報が記載されます。

自動車検査証の枠外左上の番号欄に、5桁の数字に続いてアルファベット「B」の表記があるもの。通称「Bタイプ車検証」といいます。

令和5年の車検証電子化により、車検証カードではAタイプBタイプを判別できなくなります。自動車検査証記載事項を確認する必要があります。

 

住所が変わった場合について

現使用者が新所有者になる場合

車検証上の住所から変更がある場合は、通常の名義変更に必要な書類に加えて、住民票など車検証の使用者欄の住所から現在の住所(印鑑証明書の住所)までのつながりが証明できる書類が必要となります。

【登録車】

<個人の場合> 

車検証上の住所から現住所までの引っ越しが1回であれば、住民票を取得すれば、ひとつ前の住所が記載されますが、2回以上引っ越しをしている場合には住民票のほかに、対象となる住まいの管轄の役所で住民票の除票や戸籍の附票ですべての住所をつなげる必要があります。

<法人の場合>

所在地に変更がある場合、変更の履歴が確認できる「履歴事項全部証明書」もしくは「履歴事項一部証明書」が必要となります。

「履歴事項全部証明書」で確認できない履歴は「閉鎖事項証明書」を取得する必要があります。

なお、上記住所のつながりのほかに車庫証明を新たに取得いただくことになります。

※ 住所がつながらない場合に、別人に譲渡されたとして申請しても基本的に受理さますが、別人への移転では自動車税環境性能割の課税対象となり、車両の価値によっては税金が発生する可能性があります。

【軽自動車】

  • 現在の車検証の使用者欄に記載されている方の新しい住所の住民票または印鑑証明書(どちらも写し可)
  • 発行後、3ヶ月以内でマイナンバーの記載のないものおよび複数ページで交付された書面の場合は全ページ分(コピー可)

Q&A

Q  Bタイプ車検証で所有権解除をします。備考欄の所有者が合併前の社名ですが、ローン会社からもらった印鑑証明書は合併後の社名です。合併手続きは完了していると言っているのですが登録できますか?

A できます。

Bタイプ車検証で電子的に合併手続きをした場合、車検証上の所有者欄は新しい社名に書き換わりません。国の登録データは書き換わっているので、もらった印鑑証明書で登録できます。

 

Q   軽自動車の所有権解除をします。お客様の申請依頼書に押印は必要ですか?

A 押印は不要です。

政府の規制改革実施計画により、令和3年1月より軽自動車の申請依頼書への押印が廃止となりました。

お問い合わせ・無料相談

ページの上部へ戻る

Copyright(c) 2018 行政書士法人山口事務所 All Rights Reserved.