公道を走るマリカー…法律では?

2017-06-05

TVゲームのマリオカートを模したカート。マリカーが都内の公道を走っています。

外国人観光客に特に人気のようですが、シートベルトもヘルメットも付けないで法律的には大丈夫なのでしょうか?

自動車を規制する2つの法律

道路交通法

自動車についての規制として、道路交通法は皆さんご存知だと思います。道路交通法は道の走るときのルールを定めている法律です。
法律には下記のように目的が定められています。

(目的)
第一条  この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。

内容としては、道の走り方や使い方などの規制があります。自動車教習所で習うような交通ルールに加えて、工事などで道路を一時的に占用する場合などについても定まられています。

道路運送車両法

みなさんにとっておそらく馴染みのない法律が道路運送車両法です。これは道路を走る車についての規制をする法律です。法律には下記のように目的が定められています。

 

(この法律の目的)
第一条  この法律は、道路運送車両に関し、所有権についての公証等を行い、並びに安全性の確保及び公害の防止その他の環境の保全並びに整備についての技術の向上を図り、併せて自動車の整備事業の健全な発達に資することにより、公共の福祉を増進することを目的とする。

内容としては、公道を走る車自体の所有者の確認、安全基準や、その検査について定められています。公道を走る前に登録して、ナンバープレートをつけるとか、車は公道を走るためには、一定の基準に達していることが必要であるということが定められています。

マリオカートの問題

公道上でのマリカーは、道路運送車両法では原動機付自転車に分類されます。そのため、二輪車と同様にシートベルトの設置義務はありません。また、原付なので車検もありません。車自体の安全性については原動機付自転車の基準で判断されます。

道路交通法では小型の原動機を有する普通自動車とみなされます。自動車を走行する上では普通自動車なのでヘルメットの着用義務はありません。自動車ならシートベルトを付けるべきだと思う方もいらっしゃると思いますが、シートベルトの無い車両はシートベルトの装着義務の対象外となっています。

道路交通法
(普通自動車等の運転者の遵守事項)
第七十一条の三  自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章 及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。(後略)

 

このように二つの法律のスキマをとる形になってしまったため、現行ではヘルメットもシートベルトもつけないで公道の走行が可能となっています。

しかし、カートによる事故も急増しているため国交省ではシートベルトの着用など安全対策の導入を検討しています。

カートで公道を走るときには自主時にヘルメットを着用することが望ましいですね。

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