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このページでは、登録自動車の手続きの一つである記載変更について、東京の多摩自動車検査登録事務所前で、半世紀以上代書窓口を経営している行政書士法人山口事務所が具体例も交えて、なるべくわかりやすく解説します。
目次
記載変更とは
記載変更とは、登録を伴わない車検証の記載内容を変更する申請です。
委任状の委任項目は「検査証記入」、申請者は使用者となります。
(なお、押印廃止により、申請書に記名があれば委任状の提出は不要です。)
使用者の変更や、車のサイズなどの諸元の変更があります。
諸元の変更でも、構造変更検査を伴う場合と、伴わない場合があります。
使用者の変更
勘違いされやすいのですが、使用者の氏名と住所は登録事項ではないので、これらの項目だけが変更になった場合は、変更登録ではなく、記載変更となります。
使用者の住所氏名がかわった場合で、所有者の名前、住所、使用の本拠の位置の変更がなければ、記載変更となります。例外的に、使用の本拠の位置が同一の場所でも、使用者が別人人に変わった場合は、変更登録となります。(使用の本拠の位置の変更があったと解釈されているからですが、結論だけ覚えていればオーケーです。)
記載変更(使用者の変更)の具体例
リース車両や、所有権留保の車両で、使用者が法人の本社、使用の本拠が営業所のケースで、本店移転をしたが、同一の営業所で使用するケースが代表例です。
この場合は、所有者の情報と、使用の本拠の位置に変更がなく、使用者が同一人物なので、使用者の情報のみの変更で記載変更となります。
ローンを組んでいて所有権留保となっている車両の持ち主が結婚して苗字の変更をしたが、住所の変更がなかった場合も記載変更となります。
個人の場合は使用者の住所が使用の本拠となる場合が多いので、記載変更になるケースは氏名の変更が多いです。 結婚と同時に引っ越しをするケースでは、通常は、使用の本拠の位置も変更されるので変更登録となります。
記載変更(使用者の変更)必要書類
- 自動車検査証(限定自動車検査証が交付されている場合は限定自動車検査証)
- 手数料納付書 (手数料は無料)
- 検査証記入申請書 (申請書に記名があれば委任状は不要)
- 事由を証する書類(氏名、名称、住所の変更を証明する書面)
- 事業用自動車においては事業用連絡書
この4つ、または5つの書面が必要となります。
手数料納付書と検査証記入申請書は運輸支局等で取得可能です。自動車検査証は自動車に搭載されているはずです。(ない場合は再交付が必要です。)
したがって、事前準備が必要な書類は事業用自動車(緑ナンバーのトラック、バス、タクシー等)でなければ、実質的に氏名、名称、住所の変更を証明する書面となります。
事由を証する書類 (氏名、名称、住所の変更を証明する書類)とは
使用者が個人の場合で住所の変更の場合
発行されてから3ヶ月以内のものであって、住所のつながりが証明できる住民票。
住民票のみで住所のつながりが証明できない場合は、住所のつながりが証明できる「住民票の除票」、「戸籍の附票」も必要。
なお、この場合使用の本拠の位置に変更がないとする挙証書面(※1)が必要。ただし、現に使用者住所と使用の本拠の位置が異なる場合にあっては不要とする。(※2)
写し(コピー)でもよい。
使用者が個人の場合で氏名の変更の場合
発行されてから3ヶ月以内のものであって、氏名の変更の事実が証明できる戸籍謄(抄)本又は戸籍の全部(個人)事項証明書若しくは住民票
写し(コピー)でもよい。
使用者が法人の場合で住所の変更の場合
発行されてから3ヶ月以内のものであって、住所のつながりが証明できる商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書(履歴事項証明書)。
登記簿謄(抄)本(履歴事項証明書)のみで住所のつながりが証明できない場合は、住所のつながりが証明できる閉鎖謄本(閉鎖事項証明書)も必要。
なお、この場合使用の本拠の位置に変更がないとする挙証書面(※1)が必要。ただし、現に使用者住所と使用の本拠の位置が異なる場合にあっては不要とする。(※2)
写し(コピー)でもよい。
使用者が法人の場合で名称の変更の場合
発行されてから3ヶ月以内のものであって、名称の変更の事実が証明できる 商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書
写し(コピー)でもよい。
使用者の住所の変更の原因が住居表示の変更の場合
個人・・・市区町村の発行した住居表示の変更の証明書
法人・・・商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書が原則です。市区町村の発行した住居表示の変更の証明書の添付でも受理されますが、登記の変更についての指導をされる可能性があります。
写し(コピー)でもよい。
使用者住所と使用の本拠の位置が同一の場合は、使用の本拠の位置も変更になるので変更登録になります。住居表示の変更で変更にならない場合は、もともと使用の本拠の位置と使用者の住所が異なっている場合に限られます。
※住居表示の実施とは、東京都日野市日野○○○○○という住所が、東京都日野市日野◯丁目○番地◯というような丁目番地の表記に変更になることです。市町村合併など異なり、個別の番地がどのような住所に変更されたのか、個別に証明する必要があります。
※1 使用の本拠の位置に変更がないとする挙証書面とはなにか。
住所が変更になった場合は、元の場所に使用の本拠となりうる拠点が残っているかどうかはわかりません。個人が引っ越した場合は、通常引越し前の住所で、車を使用するということはありません。法人の場合は、本店を変えたが、旧本店が営業所として残っているということはありえますが、必ずしも旧本店で営業を続けるわけではありません。
したがって、使用の本拠の位置に変更がない、つまり、もとの所在地で車両の管理を続けていることを証明する書類が必要となります。
証明する書類としては下記の書類を提出します。
使用者が個人の場合
・公的機関発行の事業証明書又は営業証明書、継続的に拠点があることが確認できる課税証明書、電気・都市ガス・水道・固定電話料金領収書のいずれか(発行されてから3ヶ月以内のもの、写し(コピー)可)
使用者が法人の場合
・商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書若しくは印鑑(登録)証明書(本店以外で商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書で証明できない場合、公的機関発行の事業証明書又は営業証明書、継続的に拠点があることが確認できる課税証明書、電気・都市ガス・水道・固定電話料金領収書のいずれか)(発行されてから3ヶ月以内のもの、写し(コピー)可)
※2 使用の本拠の位置の挙証書面がいらない場合
個人であれ、法人であれ、もともと使用者の住所と使用の本拠が別の場合には、使用の本拠の位置で継続して車両を使用することを証明する書面の提出は不要となります。
個人の場合、個人の住所以外で使用の本拠の位置が設定さている場合として、個人事業主が自宅以外で営業しているケースが考えられます。また、単身赴任で家族が住む家から一時的に離れて、仕事をしているケースも考えらます。その場合、住民票上の住所が変更になったとしても、個人事業のお店や単身赴任先が変更になる必然性はないですよね。したがって証明書類は不要となります。
法人の場合は、使用者が本店で、使用の本拠の位置が営業というケースが考えられます。その場合、本社が移転になったからと言って、営業所も移転になる必然性がありません。したがって、あえて改めて証明書類を提出する必要はありません。
車両の諸元等に変更がある場合
記載変更の申請は、登録事項に変更がないが、車検証記載事項の変更があったときに行います。型式又は原動機の型式が変更になると、変更登録になりますが、それを伴い場合は、記載変更になります。軽微な変更の場合は、構造変更検査が不要で、車検期間もそのままですが、構造変更検査が必要な場合は、検査を受け直す必要があります。
諸元等の変更については複雑なので、実際の改造や検査を行う整備工場等にお問い合わせください。
参考:自動車登録事項等実施要領