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自動車と譲渡担保

2021-03-12

譲渡担保のイメージ画像

このページでは譲渡担保とは何か。所有権留保との比較、リースバックとの比較、登録手続きについての説明をします。

 最後に参考条文を紹介します。

自動車の譲渡担保とは

 

譲渡担保とは、借金の担保に一時的に所有権を渡すことをいいます。借金を返済したら担保とした財産は返却され、借金が返済できないときは、貸主にその財産は正式に譲渡されます。なお、借入金額が担保となった自動車の価格よりも少ない場合は、清算金として差額を変換する必要があります。

所有権を渡す場合、通常は物自体を相手に持たせるのですが、自動車の譲渡担保の場合は所有権は渡しても、自動車を使用する権利は渡さないで、車を使用し続けて借金を返済することが多いです。

自動車の場合は、登録することで所有権が移ったことを、他の債権者に主張することができます。移転登録をしておけば、他の債権者に対象となる自動車を差し押さえられたりすることはありません。

しかし、譲渡担保で車を使用させる場合は、事故などのリスクもあるので車両保険の加入をおすすめします。

所有権留保との比較

譲渡担保は、担保として所有権をもっている意味では所有権留保に近いです。

自動車税(種別割)の納税義務者については、ローンで車両を購入した場合に、所有権留保で登録すると、買主が例外的に納税義務者となります。(地方税法 1471)

それに対して、譲渡担保の場合は、納税義務者は原則通り所有者課税となります。

環境性能割については、所有権留保の場合は、はじめの登録時点では買主である使用者が支払いますが、所有権留保の解除を行い、買主に所有権が移転した時には、重ねて環境性能割を支払う義務はありません。

譲渡担保は環境性能割については、担保として所有権をつけるときも、返済して所有権を戻すときも、一定の要件のもと免税の特例があります。

車両の管理責任という面においては、所有権留保の場合は所有者であるローン会社が責任を追わせるケースがあります。(平成21年3月10日最高裁第3小法廷判決では、残債務弁済期が経過した後は、留保所有権が担保権の性質を有するからといって撤去義務や不法行為責任を免れることはないと解するのが相当である。として、残債務弁済期が経過して車両を引き上げる場合には、所有者としての責任を認めています。)

譲渡担保については、明示された判例はありません。

リースバックとの比較

持っている車両の所有権を資金提供者がもつという手法にはリースバックというものもあります。リースバックでは、リース会社が車両を買取り、その後リース契約で車両を使ってもらうこととなります。月々リース料がかかるので、その支払に耐えられるかリース会社から審査されます。

譲渡担保と比較して、資金が調達できることに加えて、車両を継続して使用できるという点でも共通しています。

リースバックの場合は、所有権は完全に移転し、リース契約が満了したとしても車両が自動的に戻ってくるわけではないという点は注意が必要です。また、リース契約なので定額でメンテナンスをつけることも可能であり、諸経費の負担が平準化されるなど、単に資金を調達しただけでなく、管理コストの削減などのメリットもあります。

自動車税の種別割についてはどちらも所有者課税です。リースバックの場合は、当然にリース料の中に自動車税の種別割が内包されているので問題ありませんが、譲渡担保の場合は、自動車税の負担についての取り決めを失念しないように注意が必要です。

環境性能割については、リースバックには特例がありませんので、燃費性能が優れていたり、車両の経年劣化により通常の取得価格が免税店以下になるなど、他の要因がなければ基本的に課税されます。 リース満了時に買い戻す場合(リースアップ)でも、車両価格によっては環境性能割を負担する可能性があります。(通常は、一般的な乗用車であれば5年リースならば経年劣化で価格が下がり、免税店以下となり課税されない可能性が高いです。)

 

譲渡担保の自動車登録手続き

譲渡担保の登録手続きは、「移転登録」になります。

通常は、使用者、使用の本拠に変更がないので、ナンバープレートを変えたり、車庫証明を取得する必要はありません。

車検証の記載内容は下記のように変更されるケースが多いです。使用の本拠の位置は営業所だったりするケースもあります。

項目

旧車検証

新車検証

所有者

金借運送 (債務者)

東京都日野市

金貸商事 (債権者)

東京都世田谷区

使用者

*** (上と同じという意味)

*** (上と同じという意味)

金借運送 (債務者)

東京都日野市

使用の本拠

*** (上と同じという意味)

*** (上と同じという意味)

 

税申告については、6ヶ月以内に完済されて登録を戻すことが見込まれているであれば環境性能割納税猶予の特例があり、6ヶ月以内に所有権を戻すと環境性能割が免除されます。支払ってから還付を受けることもできます。

所有権を戻すときも、6ヶ月以内ならば非課税となり、6ヶ月を越した場合は課税されます。(他に非課税となる要素がない場合)

 

譲渡担保の自動車登録の必要書類

 必要書類イメージ画像

譲渡担保の必要書類は下記のとおりとなります。

 

旧所有者(債務者)の委任状 (実印を押印)

旧所有者(債務者)の譲渡証明書 (実印を押印)

旧所有者(債務者)の印鑑証明書 (発行後3ヶ月以内)

新所有者(債権者)の委任状 (実印を押印)

新所有者(債務者)の印鑑証明書 (発行後3ヶ月以内)

手数料納付書 (現地で取得可能)

移転登録申請書 OCR1号様式 (現地で取得可能 原因に譲渡担保と記載)

税申告書 (現地で取得可能 所有者区分を譲渡担保と記載)

 

  • 納税猶予の申告をする場合には税事務所に必要書類の確認をしてください。

 

自動車税と譲渡担保に関する参考条文

法律関係イメージ

地方税法

(自動車税の納税義務者等)

146条 自動車税は、自動車に対し、当該自動車の取得者に環境性能割によつて、当該自動車の所有者に種別割によつて、それぞれ当該自動車の主たる定置場所在の道府県が課する。

2 前項に規定する自動車の取得者には、製造により自動車を取得した自動車製造業者、販売のために自動車を取得した自動車販売業者その他運行(道路運送車両法第2条第5項に規定する運行をいう。次条第3項及び第4項において同じ。)以外の目的に供するために自動車を取得した者として政令で定めるものを含まないものとする。

(自動車税のみなす課税)

147条 自動車の売買契約において売主が当該自動車の所有権を留保している場合には、自動車税の賦課徴収については、買主を前条第1項に規定する自動車の取得者(以下この節において「自動車の取得者」という。)及び自動車の所有者とみなして、自動車税を課する。

(形式的な所有権の移転により取得した自動車に対する環境性能割の非課税)

150条 道府県は、次に掲げる自動車に対しては、環境性能割を課することができない。 <>

九 譲渡により担保の目的となつている財産(以下この号及び第164条第1項において「譲渡担保財産」という。)により担保される債権の消滅により当該譲渡担保財産の設定の日から6月以内に譲渡担保財産の権利者(同項及び同条第6項において「譲渡担保権者」という。)から譲渡担保財産の設定者(設定者が交代した場合に新たに設定者となる者を除く。以下この号及び同条第1項において同じ。)に当該譲渡担保財産を移転する場合における当該譲渡担保財産の設定者が取得した自動車

2 道府県は、第147条第1項又は第2項の規定の適用を受ける売買契約に基づき自動車の所有権がこれらの規定に規定する買主に移転したときは、当該買主が取得した自動車に対しては、重ねて環境性能割を課することができない。

(譲渡担保財産に対して課する環境性能割の納税義務の免除等)

164条 道府県は、譲渡担保権者が譲渡担保財産として自動車の取得をした場合において、当該譲渡担保財産により担保される債権の消滅により当該取得の日から6月以内に譲渡担保権者から譲渡担保財産の設定者に当該譲渡担保財産を移転したときは、譲渡担保権者が取得した当該譲渡担保財産に対する環境性能割に係る地方団体の徴収金に係る納税義務を免除するものとする。

2 道府県知事は、自動車の取得者から環境性能割について前項の規定の適用があるべき旨の申告があり、当該申告が真実であると認めるときは、当該取得の日から6月以内の期間を限つて、当該自動車に対する環境性能割に係る地方団体の徴収金の徴収を猶予するものとする。

3 道府県知事は、前項の規定による徴収の猶予をした場合には、当該徴収の猶予がされた環境性能割額に係る延滞金額のうち当該徴収を猶予した期間に対応する部分の金額を免除するものとする。

4 道府県知事は、第2項の規定による徴収の猶予をした場合において、当該徴収の猶予に係る環境性能割について第1項の規定の適用がないことが明らかとなつたときは、当該徴収の猶予を取り消さなければならない。この場合において、徴収の猶予を取り消された者は、直ちに当該徴収の猶予がされた環境性能割に係る地方団体の徴収金を納付しなければならない。

5 第15条の2の二及び第15条の2の三第1項の規定は第2項の規定による徴収の猶予について、第15条の33項の規定は前項の規定による徴収の猶予の取消しについて、それぞれ準用する。

6 道府県が環境性能割に係る地方団体の徴収金を徴収した場合において、当該環境性能割について第1項の規定の適用があることとなつたときは、道府県知事は、同項の譲渡担保権者の申請に基づいて、当該地方団体の徴収金を還付するものとする。

7 道府県知事は、前項の規定により環境性能割に係る地方団体の徴収金を還付する場合において、還付を受けるべき者の未納に係る地方団体の徴収金があるときは、当該還付すべき額をこれに充当しなければならない。

8 前2項の規定により環境性能割に係る地方団体の徴収金を還付し、又は充当する場合には、第6項の規定による還付の申請があつた日から起算して10日を経過した日を第17条の41項各号に定める日とみなして、同項の規定を適用する。

条文参照:地方税法

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